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【痛みの専門院】
東町接骨院・鍼灸院
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腰から臀部(お尻)に痛みがあり整形外科を受診する。画像検査の結果、腰部椎間板ヘルニアと診断される。投薬と神経ブロック注射をうけていたが改善されず、違った治療を試してみたいと当院に来院されました。
施術の反応もよく数回の治療で痛みは消失
患「痛みもスッカリ良くなったのですが、あした整形外科で再検査があるので念のために検査しに行きます」
一週間後、腰痛予防のため再来院
患「病院での検査の結果、画像検査でヘルニアは元の状態のままで、まったく改善されていないと言われました」
私「・・・・・・」
まあ良くあることですが、痛みは改善したにもかかわらず、ヘルニアの画像をみせられ困惑するパターンです。施術前にヘルニアと現在の痛みは関係が無いことを納得するまで説明したのですが、動揺される方が少なからずおられます。
しかし、なぜヘルニアが治っていないのに痛みが改善されるのでしょうか?
腰椎椎間板ヘルニアは腰痛、坐骨神経痛による足の痛み、シビレの原因とされています。しかし現在、ヘルニアは自然に消失することや腰痛のない健常者からも、余りにも多くヘルニアが見つかる事などからも、ヘルニアが腰痛や神経症状の原因では無いと言うことが囁かれています。いったい真相はどうなっているのでしょうか?
腰椎椎間板ヘルニアという病名は余りにも有名で皆さんもご存知だと思います。簡単に説明すれば腰の骨と骨の間にある椎間板(椎間軟骨)に亀裂などが入り椎間板の中にある髄核が飛出し神経を圧迫し腰や足に神経症状とされる痛みやシビレが出ると言うものです。
最近ではヘルニアは生体内では異物とみなされ免疫細胞のマクロファージ(貪食細胞)により排除され自然に無くなることが多い事も分かっています。また、専門家の間ではヘルニア自体が神経を圧迫し痛みやシビレの原因であること自体が疑問視または否定されはじめているのです。
私は専門の研究者では無いのですべてを証明することはできません。しかし手術が必要な患者さんやヘルニアの診断を受けた患者さんを数多く治療した臨床経験からすればヘルニアがあろうと症状の多くは改善されるという事実です。しかしこれはヘルニアを治したという事ではありません。ヘルニアが原因では無かったという事なのです。
資料TMSジャパン
上記の表は国際腰痛学会でVolvo賞(最高賞)を受賞したものです。これは腰痛症のない46名をMRIにより検査した結果、腰痛が無いにもかかわらず、椎間板ヘルニア76%・椎間板変性85%が見つかったと言う驚きの結果がでています。
この事は腰痛が無い人でも七割以上の人に当たり前のように椎間板ヘルニアなどが存在していることを示し、また椎間板に異常がない人の方が圧倒的に少ないという事になります。
もし、あなたが医療機関の検査でヘルニアが見つかったとしても、特別に驚くことでは無く、また腰痛やシビレの原因がヘルニアであるという確定的な診断にはならないということです。
MRI等による検査➡ヘルニアが診つかる➡痛み・シビレの原因とは特定はできない
ヘルニアがあっても本当にそれが腰痛やシビレ等の原因であるか特定するのは難しいという事です。
上記の様にヘルニアが検査により見つかったとしても神経レベルと症状に相関性がなかったり画像によるヘルニアの所見と症状に生合成が無かったりと専門家の間では症状とMRIの結果が一致しないことは以前から知られていました。ヘルニア自体があっても症状との相関性や生合成がなければ、それは無症候性ヘルニアの可能性が高く痛みやシビレの原因は他にあるということになります。
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熊澤孝朗 著 「痛みを知る」神経線維は通常、その末端にある受容器から信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません。
痛みの研究で世界的第一人者である熊澤博士はこの様に述べています。神経線維と言うものは痛みや情報を受け取り、それを伝える線維であり、神経線維が途中で圧迫などを受けても神経自体が興奮し痛みなどを発することは無いと言うことです。即ちヘルニアなどにより圧迫されても神経が痛みやシビレを起こす事は有り得ないという訳です。神経が圧迫されているのであれば痛みやシビレでは無く、情報伝達路が断たれる事による麻痺に成るという事です。
たとえば足が痛くなる症状などを坐骨神経痛と呼びますが、この症状は坐骨神経自体が痛みを発することではなく坐骨神経の支配領域が痛むという事であり支配領域に何らかの異常があるということを示します。そしてその異常を坐骨神経は痛みの信号として脳に伝えているに過ぎず、坐骨神経自体が痛みを発している訳では無いという事です。もし坐骨神経自体が何らかの原因で強い圧迫を受けたならば、その神経支配領域へ情報を伝えることができずに麻痺を起こすこととなり痛みやシビレを誘発することは無いという訳です。
この様な生理学的な研究事実とヘルニアに対する医療現場の考え方は全く違うものなのです。
馬尾神経とは腰の神経が馬の尻尾の束の様になっている事からの名称です。この馬尾神経がヘルニア・腫瘍・膿瘍・外傷・炎症などにより馬尾神経が圧迫される事により、お尻の周りの感覚低下(サドル麻痺・サドルがあたる部分)・膀胱直腸障害(尿閉・尿失禁・便失禁)・足の反射消失などを起こします。これらは神経圧迫による神経症状で麻痺を主症状とします。この馬尾神経障害は緊急の治療が必要であり圧迫を軽減する手術が適応となります。椎間板ヘルニアで起きることは全体の2%ほどと言われてますが、私の整形外科勤務時代や臨床現場でヘルニアによる馬尾症候群を経験したり聞いた事はありません(それだけ稀)。神経圧迫所見は痛みやシビレより麻痺が主体となり手術が適応となります。
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皆さんも良くみられている情報番組「ためして○○○○」で、こんな事が放送されました。ヘルニアは腰痛とは関係なく、今までの常識はウソだったというものですが、間違えじゃなくウソなの?と思いましたが・・・。
内容を簡単に説明すれば、今までヘルニアなどが腰痛の原因とされてきた事が、実はストレスを受けることで脳の血流が低下すると伴に、痛みを鎮痛する物質を出す脳の側坐核の機能も低下し、痛みを抑制できないことで痛みが強くなり治らないという内容で、これが50年に1度の大発見という事です。
ストレスから痛みが来ると言うのは10年以上も前からJohn E.sarno(サーノ博士)などにより提唱されていましたが、この脳の血流量の低下や側坐核が関係している事が最近発見されたという事です。
ヘルニアについては上述した無症候性ヘルニアやヘルニアと画像診断の症状の不一致・手術をしてもしなくても術後の経過に大差は無いことが挙げられ、ヘルニア自体と痛みとの間に因果関係が無いと言うものでした。
内容はともかくとして、ヘルニア≠神経症状≠痛み・シビレ
という考えかたへ変わりつつあるというこです。番組内でも手術適応は排尿障害などの麻痺を伴うものでヘルニア=麻痺(馬尾症候群)=手術となっています。
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「歳だから腰痛になるのは仕方がない」。その様に思われる方は多いです。年齢と伴に腰の椎間板は膨隆したり変性していきます。また骨の間が狭くなる・骨棘(棘)が形成されるなど様々な状態がでてきます。椎間板変性は60歳~80歳の93%の方に変性がみつかり、この数値から見ると年齢が上がるにつれ、さぞかし腰痛患者が増えるだろうと考えてしまいます。しかし実際は違うのです。
このグラフを見てお分かりの様に腰痛症は30代から40代をピークに減少している事が分かります。単純に比較してみると椎間板の異常が増えれば腰痛症が増えると言うものでは無いことがわかります。研究者の間では、この様な椎間板などの変性は単なる退行性変性(加齢によるもの)で生理的変化に過ぎず単なるシワや白髪の様なものと同じで腰痛の主な原因ではないとされています。
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ヘルニア=神経圧迫=手術は、ひと昔前の考え方に成り始めている
上記の様なことから痛みやシビレがあり検査でヘルニアが診つかったとしても昔の様にヘルニア=神経圧迫=手術という関係は徐々に成り立たなくなっています。日本でも最近では保存療法で治療する所も徐々に増えてはいますが医療現場での治療はやはり手術などの外科療法が中心となり、ヘルニア=神経圧迫=手術という考えが方が強く根付いています。いちど根付いた常識はそれが間違いだったとしても中々変わらないものです。もちろん麻痺(馬尾症候群による膀胱直腸障害)のような重篤な症状は手術の適応ではありますが、腰痛や坐骨神経痛などの痛み、シビレを主体とする症状はヘルニアによる神経の圧迫が原因では無い可能性が非常に高いということです。
Low back pain WHO(世界保健機構)文書 2003年によると
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄は、老人には非常にありふれており、画像診断でほとんどの老人に認められるが、たいていの場合には、それは腰痛の原因ではない。それは、しばしば手術を行う根拠にされるが、その手術が成功して最終的に腰痛が軽快することはまれである。とされています。
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右の図は筋筋膜の異常から来る痛みの症状ですが、筋筋膜の関連痛の知識のない医療機関(筋筋膜の異常を検査する所は殆んどの場合有りません)で診断すれば神経症状という事になるでしょう。MRIなどの画像診断で無症候性のヘルニアが見つかればヘルニアが原因の坐骨神経痛と診断される事になります。
痛みやシビレが無症候性のヘルニアと神経レベルが一致していたら何の疑いも無く手術を行なうことに恐らくなるでしょう。この場合、手術をしても治らない、またはすぐに再発と言う経過をたどる事になります。
しかし医療機関では「手術は成功しました。後はリハビリをやってください」、「神経にダメージがあるので神経が回復するまで時間が掛かります」という言葉を言われ終了しますが、本人の症状は一向に回復することが無い。治らないのは勿論、神経症状ではなく筋膜性疼痛によるものだからです。
筋筋膜の異常から来る痛みはレントゲンやMRIには写りません。写らない事がより診断を難しくしている様に思われますが、そうではありません。ただ筋膜に対する考えや知識が無いからです。それは筋筋膜の知識や考えがあれば問診と触ってみれば分かる事が殆んどだからです。
医療機関でヘルニアと診断された痛みであっても触って診れば筋肉中に感じられるシコリ・緊張・またシコリに刺激を与えることで痛みやシビレを再現できるものは殆んどの場合、神経症状ではありません。また検査で見つかった原因となる腰の椎間板の位置とは離れた所に腰痛の痛みがある事も多いのです。この痛みの部分を押せば患者さんが「先生そこです」と答えられるでしょう。この場合、腰椎より下部の所に原因がある事が多く検査そのものが的外れだったという事です。それはなぜなのか?それは触って診ないからだけの話です。
触って診るという事は最新機器の画像診断にくらべて劣って感じられるかもしれません。しかしこの触らなかったがために不必要な手術を受けられたり、意味のない検査を繰り返し受けることにもなるのです。もちろん画像診断によらなければ分からない事も沢山あります。しかし一方向に偏った診断は、どうしてもその枠内で症状を捉えようとしがちになります。そのため外科的診断では椎間板ヘルニアや変性があればそれを原因とし症状と結び付けてしまいます。またそこに異常がなければ原因不明ということになるのです。
世界ではいまチーム医療を中心とし痛みをあらゆる方向性(生物・心理・社会的要因)から捉え、治療を進めています。それは外科的処置では腰痛症を改善することが難しい事がわかったからです。研究者の間では今まで常識とされたヘルニアや骨の変形といった画像検査による目に見える異常を痛みの原因とする考え方は治療戦略として、もはや失敗に終わったとしているのです。残念ながら日本では未だにヘルニアや関節の間が狭いなどの外科的所見を中心とした偏った痛みの診断・治療が行われています。そのため痛みの治療は諸外国より少なくとも10年以上は遅れていると言われているのです。
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